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13分

AGL AGTのレビュー 本当にリアル?打ち込みのコツと本音

2024-07-20
2025-07-09

Ample Sound「Ample Guitar L」(AGL)、「Ample Guitar T」(AGT)のレビューです。

2011年に北京で設立され、ギター音源を中心に開発を続ける、現在までサポートと実績のあるデベロッパーです。

「本物のギターは弾けないから打ち込みで再現したい」

「打ち込みのギターはどうしても機械っぽくなる」

そんな悩みを抱えてませんか?

このAGL AGTは、これらを解決してくれるポテンシャルを秘めた音源です。

まずは、この2本で制作したデモ音源を聴いて、その実力の一端を感じてみてください。

伴奏にAGTとAGL、主旋律にAGLを使用しています。

この記事では、AGL AGTの魅力から、導入前に知っておくべき注意点までレビューします。

この音源を選ぶ理由
  • 実在の名器のサウンド:Alhambra、Taylorという実在するギターの生々しいサウンド
  • 息をのむ空気感:弦の余韻やボディの鳴りまで収録した、リアルなサスティン
  • 直感的に運指を編集:Riffer画面で弦移動のポジションを編集できる機能
  • 多彩なアーティキュレーション:スライドやミュートなど、キースイッチ一つで生っぽさを加える
  • 音作りの時短になるFXプリセット:即戦力になる17種のEQプリセットで、音作りを時短
導入前の注意点
  • PCスペックを選ぶ動作の重さ:複数トラック使用時は、DAWごとフリーズする可能性も
  • リアルさ故の打ち込みの奥深さ:ベタ打ちは機械的になりやすく、一手間加える工夫が必要

目次#

温かく包み込むナイロン弦の響き AGL (Alhambra Luthier)#

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Alhambra「Luthier」をモデルとしたクラシックギターです。

指弾き、ピック弾き、ストラムを含む20のプリセットが用意されています。

ナイロン弦の丸く温かみのある音が特徴。

サウンドホールの反響からボディの鳴りも身近に感じられ、非常にクラシカル。

響きが豊かで、1弦から3弦、4弦から6弦の弦違いもバランス良くまとまっています。

穏やかで優しい音がするので、テンポのゆったりした曲に最適。

弦楽器やピアノとも相性が良いです。

デモ音源の主旋律は、このAGLの温かい音色を活かしたくて作りました。

高音域でも耳に痛くない、丸みのあるサウンドが伝わるかと思います。

シャープで存在感抜群のスチール弦 AGT (Taylor 714ce)#

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Taylor「714ce」をモデルとしたアコースティックギターです。

こちらも同様に指弾き、ピック弾き、ストラムを含む20のプリセットが用意されています。

スチール弦の鋭くキレのある音が特徴。

ひとつひとつの音の輪郭が明瞭で、音像がはっきりしています。

レスポンスと粒立ちが良く、弦の振動が力強く伝わってきます。

ギターソロの旋律や、メッセージ性の強いメロディに使用すると効果的でしょう。

バンドサウンドにも埋もれることなく活躍してくれます。

デモ音源の伴奏パートにはAGTを使用。

一音一音の輪郭がはっきりしているので、他の楽器に埋もれず、曲の土台をしっかり支えてくれます。

ギターの常識を超える、ピアノのようなサスティン表現#

ここからは共通の仕様について。

音の減衰まで丁寧にサンプリングされており、自然なサスティンを実現しています。

ソロで構成すると、余韻の空気感も感じられます。

また、ホールド(サスティン)ペダルが搭載されており、ピアノのように扱えます。

本来ギターにはない機能ですが、使えるものは使いましょう。

ただ、音の切れ目にややノイズがのることがあります。

生演奏の「クセ」を再現 7つのアーティキュレーション#

より生っぽいギター演奏に近づけるため、7つのキースイッチが用意されています。

  • サスティン
  • ナチュナルハーモニクス
  • パームミュート
  • スライドイン・アウト
  • レガートスライド
  • ハンマリングオン・プリングオフ
  • スライドギター

例えばスライドイン・アウトは、midiノートのはじめ or おわりに描くと自動で認識してくれます。

また、ボディを叩く音やストロークノイズ、スクラッチなどの小技も収録。

フィンガリングの際に発生する音を観察し、狙って効果的に使いましょう。

音作りの迷子にならない 即戦力のFXプリセット#

「FX」タブから音作りの画面に移ります。

左下の「Preset」から、あらかじめ設定された17種のEQを呼び出すことができます。

アコースティック、ベース、エレキなどジャンル別にフォルダ分けされており、かんたんにアクセス可能。

EQは調整を続けると耳の疲労も相まって、何が正解なのか分からず迷子になりやすいです。

そんなときにこのプリセットがあれば、時短に繋がります。

私が特に気に入っているのは「AG12 EQ Finger」というプリセットです。

指弾きの暖かさを残しつつ、不要な低音域がカットされていて、すぐにオケに馴染みます。

デモ音源も、これをベースに少しだけEQを調整したものです。

プリセットを色々試して、そこから微調整していくのが音作りの近道です。

【要注意】あなたのパソコンは大丈夫? 動作の重さと要求スペック#

バージョンアップで改良されつつあるも、動作が重いです。

要求スペックは、「Intel i5 or higher」と明記されています。

私のパソコン環境(CPU Core i7, メモリ16GB)では、DAWが固まったりDAWごと落ちたりすることも。

特に再生しながら音色選択すると発生しやすいです。

対策

  • 負荷のかかる作業は単独で行う
  • トラックを一つ完成させるごとにオーディオ化(フリーズやバウンス)する

この辺はもっと改善してほしいです。

【本音レビュー】リアルさの裏側にある「3つの壁」とその乗り越え方#

正直にお伝えすると、この音源をリアルに鳴らすのは簡単ではありません。

私自身、まだ勉強中で試行錯誤の連続です。

  1. Strummerモードだけでは「打ち込み感」が消えない

    コードをジャカジャカ鳴らすStrummerモードは便利なのですが、デフォルトのままだと、どうしても均一的な演奏になりがちです。

    「いかにも打ち込み」なサウンドになってしまう、という経験はないでしょうか。

    そこで、ベロシティや発音タイミングを微妙にずらすことで、人間らしい揺らぎを表現できます。

    手間はかかりますが、その分、生々しいグルーヴ感が得られます。

  2. 思い通りの運指にならないならTAB譜の活用も

    img

    MIDIノートで打ち込むと、音源が自動で最適な指板ポジションを判断してくれます。

    しかし、「このフレーズはもっとハイポジションで弾いた音にしたい」と感じることもあります。

    そんな時は、Riffer編集画面に移ります。

    例えば「5弦の開放弦」で鳴っている音を「6弦の5フレット」に変更するといった操作が可能です。

    これにより、ギタリストが実際に弾くであろう運指をシミュレートでき、サウンドのリアリティが格段に向上します。

    img

    もしGuitar Pro(.gp3、.gp4、.gp5、.gpx)を所有していれば、先頭の1トラックを読み込むことが可能です。

    これらの操作に慣れていると、打ち込みスピードを大幅に短縮できるでしょう。

  3. 意図しないフレットノイズ

    Ample Guitarは非常に賢く、休符を挟むと自動で「キュッ」というフレット移動ノイズを入れてくれます。

    これは非常にリアルなのですが、静かなバラードなどでは目立ちすぎてしまうことも。

    このノイズは、ボリュームオートメーションで消すことは可能ですが、やや不自然になる場合があります。

    不要な場面ではノイズを軽減すれば、曲全体のクオリティがぐっと上がります。

おわりに この音源はどんな人におすすめか#

Ample Sound「Ample Guitar L」「Ample Guitar T」の紹介と感想でした。

これらは手軽に良い音が出る音源ではないかもしれません。

リアルに鳴らすには相応の知識と手間が求められます。

機能面での安定性や打ち込みの手軽さだけを求めるなら、他の選択肢もあるでしょう。

もしあなたが、

  • ボタン一つで完成する音楽に、物足りなさを感じている
  • 打ち込みに自分の色を出したい
  • 時間と手間をかけてでも、本物と聴き間違えるほどのギタートラックを作り上げたい

そんなDTM愛があり、挑戦したい気持ちがあるなら、間違いなく応えてくれるでしょう。

公式サイトにデモ版も用意されています。

まずはその音の確認と、あなたの制作環境で快適に動作するか体験してみてください。

おまけ デモ音源 このフレーズはこう作りました#

  1. 主旋律のスライド奏法

    滑らかな音程変化は、キースイッチの「スライド」を使っています。

    スライドイン(D#0)を指定するだけで、生々しい表現が可能です。

  2. 伴奏の人間的な揺らぎ

    クオンタイズ(音符のタイミングを揃える機能)を100%にせず、90%程度に設定しています。

    さらに、ベロシティ(音の強弱)も一音ずつ手作業で調整し、機械的な正確さをなくしています。

  3. 運指変更

    最初MIDIで打ち込んだ5弦は、音が細い印象でした。

    そこで、Riffer画面で運指を編集し、あえて6弦で演奏するように変更しました。

    これにより、より太く、落ち着いた響きになっています。

    現実だとしない(できない)ことを可能にするのも、DTMの奥深さですね。

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