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【10年の結論】狭い部屋でも快適なDTMデスクの哲学 75cm幅で仕事も両立するレイアウト術

2025-07-02

「DTMを始めたいけど、機材を置くスペースがない」

「今のデスク周りがゴチャゴチャで、どうにかしたい」

その悩み、痛いほどわかります。

しかし、もしその悩みが、あなたの創造性を解き放つ最大のチャンスだとしたら?

私は10年に渡り「幅わずか75cm」のデスクで音楽制作と仕事を続けてきました。

そしてたどり着いたのは、「デスクが狭いからこそ、思考は研ぎ澄まされる」という真実です。

これは単なる省スペース術ではありません。

物理的なノイズを排除し、思考を整理することで、創造性を最大化するための「デスク禅」とでも言うべき、私の哲学です。

この記事では、手の届く範囲にすべてが揃う「デスク禅」を構築する具体的な方法を、私の物語と共にご紹介します。

目次#

私が「広いデスク」と大量の機材を捨てた理由#

最初に、私のお話をさせてください。

実を言うと、私も昔は「広いデスクに高価な機材を並べること」に憧れていました。

しかし、機材が増えるほど、私の集中力は反比例するように削がれていったのです。

「どのシンセを使おうか」「このエフェクターも試したい」…無限の選択肢は、いつしか制作の足枷となっていました。

結局、何も生み出せないまま一日が終わる。そんな自己嫌悪の日々でした。

ある時、私は意を決してほとんどの機材を処分し、この75cmの小さなデスクひとつに原点回帰しました。

物理的なノイズを強制的に断捨離した瞬間、驚くほど思考がクリアになったのです。

限られた機材だからこそ、その性能を極限まで引き出そうと工夫する。

この「制約」こそが、私の創造性を再燃させてくれました。

狭さを無効化!75cmデスクを”立体要塞”にする空間活用術#

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私が愛用しているサンワダイレクトの75cm幅デスク。

正直に言えば、平面だけで考えれば絶望的に狭いです。

13インチのノートPCを置けば天板の半分は埋まり、紙のノートを広げることすら諦めました。

しかし、そこで発想を転換します。

「平面で足りないなら、立体で攻略すればいい」のです。

前後左右、そして上下の空間をフル活用し、デスクを”立体要塞”へと進化させましょう。

【上空】モニターアームでディスプレイを宙に浮かす#

外部ディスプレイは、迷わずモニターアームで浮かせてください。

これだけで天板の占有率はゼロになり、作業スペースが生まれます。

視線の高さや角度を自由に調整できるため、肩こりや目の疲れも劇的に軽減されます。

【前後】スタンドで奥行きを有効活用#

タブレットや2台目のノートパソコンは、スタンドを使って奥や左右に配置します。

デッドスペースだった隙間が、サブディスプレイやコントローラーの定位置に早変わりします。

【足元】ラックスタンドで機材を格納#

オーディオインターフェースやラック式ハードウェアなど、毎日頻繁には触らない機材は、思い切って足元へ。

L字のラックスタンドを使えば、足元が立派な機材庫になります。

このように、平面ではなく空間で捉え直すだけで、75cmのデスクは無限の可能性を秘めた作業空間になるのです。

スライドテーブルは「隠す収納」をしたい人向け#

好みなので主観になりますが、スライドテーブル付きをおすすめします。

頻繁に使うものの、普段は収納したいものに適しています。

パソコンのキーボードを置く場合は、椅子の高さに注意しましょう。

天板の高さを合わせると、手の位置が下がり正しいタイピングができず疲れやすくなります。

同じ理由で、入力用のMIDIキーボードを収納する場合も注意です。

私は以前、スライドテーブルにキーボードを置いていましたが、無理な姿勢でのタイピングが続き、手首を痛めかけた経験があります。

この経験から、「見た目のスッキリさよりも、身体が自然でいられること」が、創造性にとって遥かに重要だと学びました。

上棚はモニタースピーカー置き場の最適解になる#

一般的な事務机やDTM専用机では、上棚が存在しないものが多いです。

確かにDTM用途で考えれば不要ですが、ここではスピーカーに注目します。

天板にスピーカーを設置しようとすると、どうしても専用スペースが必要になります。

また、左右に外部ディスプレイがあれば干渉することになります。

そこで上棚の出番です。

スピーカー専用の支柱を用意する必要がないので、経済的です。

インシュレーターを下に敷くことで、デスクの不要な振動を抑え、よりクリアなモニター環境が手に入ります

レイアウトで小難しいことを考えず済むので助かります。

リスニング時は立ちます。健康のため。

また、ビジネス用途で考えればプリンターやスキャナを置くことができるので、地味に便利です。

独自レイアウト キーボードは「垂直置き」が正解だった#

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DTMデスクで最も頭を悩ませるのが、場所を取るキーボードの配置ではないでしょうか。

私も長年悩みましたが、試行錯誤の末に行き着いたのが、デスクに対して「垂直」に置くというレイアウトです。

この配置の最大のメリットは、デスクの横幅や奥行きを全く消費しないこと。

61鍵から88鍵といった大きなキーボードでも、メインの作業スペースを一切犠牲にしません。

ちなみに、写真のキーボードは61鍵です。

正面を向いてミックスや編集作業をしている間、キーボードは視界の右端にあるため、圧迫感がなく作業に集中できます。

鍵盤を弾きたくなったら、椅子ごと体を右に向けるだけ。

私の場合はモニターアームで外部ディスプレイをキーボードの正面に移動させ、譜面台がわりに使っています。

これにより、DAW操作と演奏の切り替えがシームレスに行えるようになりました。

「キーボードはデスクの正面に置くもの」という固定観念を捨てるだけで、レイアウトの自由度は劇的に向上します。

ぜひお試しください。

“立体要塞”の生命線!ごちゃつく配線を隠すケーブルマネジメント術#

こだわりのレイアウトが完成しても、ケーブルがごちゃごちゃでは台無しです。

ミニマムなデスクを維持するために、私はデスク天板の裏にケーブルトレーを取り付けています。

電源タップやACアダプターごとトレーに放り込み、結束バンドやスパイラルチューブでケーブル類をまとめれば、足元や視界から配線を一掃できます。

見た目がスッキリするだけでなく、掃除が格段に楽になるのでおすすめです。

まとめ あなたのデスクは、あなたの思考そのものだ#

DTMデスクのレイアウトとは、単なる機材の配置ではありません。

それは「自分にとって何が重要か」を問い直し、思考を物理的にデザインする行為です。

広さに惑わされないでください。

情報が溢れるこの時代だからこそ、自ら「制約」を課し、その中で無限の工夫を凝らすこと。

その密度の高いミニマムな空間にこそ、あなただけの音が宿ります。

さて、あなたのデスクを見回してみてください。

そこにあるものは、本当にあなたの創造性に火をつけていますか?

それとも、かつての私のように、選択肢という名のノイズになっていませんか?

この記事を参考に、あなたの思考を映し出す「デスク禅」を作り上げてください。


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