アニソン好きギタリスト必見!ギターが下手なのは“練習がつまらない”から。「翔べ! アニソン編」で楽しく上達しよう
今日はアニメを見て楽しもう。
でもギターの練習もしたい。
そんな時は「天國のギター・トレーニング・ソング 翔べ! アニソン編」を譜めくりしましょう。
この教則本は、アニメを見たいけどギターも練習したい欲張りな人向けの一冊です。
この記事では、実際に弾き込んだ私が、その魅力と解説を熱量高めに語り尽くします。
目次
基本情報
項目 内容 タイトル 天國のギター・トレーニング・ソング 翔べ! アニソン編 著者名 小林 信一 出版社 リットーミュージック 発売日 2014/2/28 ページ数 80 価格 2,200円+税
『進撃の巨人』や『けいおん!』、『魔法少女まどか☆マギカ』、『崖の上のポニョ』、『新世紀エヴァンゲリオン』、『ドラゴンボールZ』、『ドラえもん』など、新旧の大ヒット・アニメの主題歌/テーマ・ソングをギター・インストにアレンジ。曲ごとに修得できるテクニックを設定しているので、1曲をとおして演奏することによって、ギターの腕を磨くことができます。アニソン好きのギタリストに必ず手にしてもらいたい充実の1冊です!
収録曲
No. 曲名 1 紅蓮の弓矢(『進撃の巨人』より) 2 Don’t say “Lazy”(『けいおん!』より) 3 君の知らない物語(『化物語』より) 4 God knows…(『涼宮ハルヒの憂鬱』より) 5 魂のルフラン(『新世紀エヴァンゲリオン 劇場版 DEATH & REBIRTH シト新生』より) 6 創聖のアクエリオン(『創聖のアクエリオン』より) 7 ひこうき雲(『風立ちぬ』より) 8 崖の上のポニョ(『崖の上のポニョ』より) 9 いつも何度でも(『千と千尋の神隠し』より) 10 ウィーアー!(『ONE PIECE』より) 11 ペガサス幻想(『聖闘士星矢』より) 12 CHA-LA HEAD-CHA-LA『ドラゴンボールZ』より) 13 ユリア…永遠に(『北斗の拳』より) 14 ドラえもんのうた(『ドラえもん』より) 15 おどるポンポコリン(『ちびまる子ちゃん』より) 16 ムーンライト伝説(『美少女戦士セーラームーン』より) 17 ゆずれない願い(『魔法騎士レイアース』より) 18 コネクト(『魔法少女まどか☆マギカ』より)
公式サイトより引用(音源の視聴もできます)
なぜアニソンがギター練習の特効薬なのか?3つの理由
本書のコンセプトはシリーズ共通ですが、アニソンに特化したことで、他の教則本にはない絶大な効果を生み出しています。
コンセプト
- 中身すべてが課題曲
- 見開き2ページで完結
- 全ての指使いが指定あり
- 模範演奏とカラオケあり
本作では、何が違うのか見ていきましょう。
▲第一弾「天國のギター・トレーニング・ソング」の詳しい紹介はこちら。
1. アニソン特化
本書の最大の特徴は、なんと言っても全曲アニソンであること。
多くは、覚えやすいキャッチーなサビと明確なコード進行で構成されています。
この音楽的な「予測可能性」が、フレーズの理解度を格段に高めます。
「次はこうなるはずだ」という予測が立つため、耳コピが苦手な人でも挫折しにくいのです。
これは、練習における認知負荷を下げ、純粋な演奏技術の習得に集中させる効果があります。
【無料公開】 天國本の出来るまで
▲小林信一さんによる天国本の制作秘話。面白いので他の記事もチェック。
2. 弾くだけで上達!考え抜かれた「仕掛け」
本書はただのアニソン楽譜集ではありません。
一曲ごとに明確なテクニカル・テーマが設定されています。
例えば「Don’t say “Lazy”」ではパワーコードのカッティング、「ウィーアー!」ではユニゾンチョーキングが多用されていたり。
曲のメインフレーズに特定のテクニックが繰り返し登場するため、一曲通して弾く頃には、その技術が無意識レベルで体に染み付くように設計されています。
このように、技術と曲調がリンクしたフレーズが繰り返し登場する構成は、学習の観点から非常に効率的と言えます。
3. 原曲超え?ロック魂溢れる秀逸なアレンジ
ジブリや国民的アニメの曲が、著者の小林信一さんの手によって、ゴリゴリのロック・メタルサウンドに生まれ変わっています。
原曲の美しいメロディはそのままに、重厚なリフや泣きのギターソロが加わることで、新たな魅力が爆発。
「この曲、こんなかっこよかったのか!」という驚きは、アレンジや表現の引き出しを増やしてくれます。
このような大胆なリアレンジに触れることは、ギタリスト自身の固定観念を打ち破り、発想を豊かにする上で大きな価値があります。
本書のメリット・デメリット
メリット
- 馴染みのある曲で楽しく練習できるため、モチベーションを維持しやすい
- 難易度は第一弾と第二弾の中間(BPM140前後が中心)で、初心者から中級者まで挑戦しやすい絶妙なレベル設定
- ロック、メタル、ポップス、バラードと、アニソンという括りの中に多様なジャンルがあり、音楽的視野が広がる
- 原曲とは一味違うロックなアレンジが、ギタリストとしての表現力やアイデアを刺激してくれる
デメリット
- アニソンに思い入れがないと、魅力が伝わりにくい
- 原曲至上主義の人には、アレンジが「やりすぎ」と感じる可能性も
- あくまでインストなので、歌いながら弾きたい人には物足りないかも
こんなひとにおすすめ
- 基礎練習に飽きてギターから離れかけている人
- テクニックはあるが、表現力やメロディセンスに課題を感じている中級者
- 文化祭や弾いてみた動画で、再生数を稼げるキラーチューンを探している学生
- お子さんに「かっこいい!」と言われたいお父さん、お母さん
- ロックが好きな人
お気に入りの曲解説(音源あり)
私が自身のライブ配信で演奏した、特にお気に入りの6曲を解説します。
実際の演奏を聴きながら、各曲の魅力を感じてみてください。
※著者に許諾を得て演奏しています。楽曲利用申請済。
▲右下の再生ボタンから当時の配信を聴くことができます。
00:13~ 君の知らない物語
難しいテクニックは不要。
だからこそ「いかにメロディを歌わせるか」というギタリストの表現力が問われます。
音符と音符の間をスライドで滑らかにつなぐだけで、一気にエモーショナルな雰囲気が出ます。
サビのメロディなど、余白(休符)が多い部分の解釈はギタリスト次第。
ディレイを薄くかけて、夏の夜空に音が溶けていくようなイメージで弾くと最高に気持ちいいです。
03:02~ 崖の上のポニョ
「え、ここでその音?」と最初は戸惑うかもしれません。
この曲で使われているスケールは独特で、一筋縄ではいかない運指が求められます。
しかし、これこそが練習の狙い。
この指使いに慣れると、ペンタトニック一辺倒から脱却するヒントが得られます。
原曲の可愛らしさを意識しつつ、ピッキングの強弱で魚が跳ねるような躍動感を表現すると、ただ弾くのとは違う楽しさが見えてきます。
07:33~ いつも何度でも
驚くことに、この曲の譜面にはビブラートの指示が一切ありません。
これは「自分で考えろ」という小林信一さんからの挑戦状です。
模範演奏を聴くと、実に効果的なタイミングでビブラートがかけられています。
これはコピーする絶好のチャンス。
私は「千尋がハクを思い、少しだけ心がかき乱れる感じ」をイメージしてみました。
表現力とは正解がない、いつまでも追い続けるものだと実感しました。
10:44~ ウィーアー
子どもウケNo.1!
この曲は理屈じゃありません。
航海の始まりを告げる祝砲のように、荒々しく弾くのがポイントです。
特に魂のユニゾンチョーキングは、多少ピッチが甘くても勢いを重視した方が海賊感が出てかっこいい。
譜面を見ると、繰り返しによっては同じ音を違う弦で弾く「同音異弦」の指示があります。
これはニュアンスを変えるため、次の弦移動をスムーズにするための意図的なもの。
こうした作者の意図を汲み取りながら弾くと、面白さが倍増します。
ライブ配信でも一番の盛り上がりを見せた、キラーチューンです。
13:42~ CHA-LA HEAD-CHA-LA
イントロに16分音符タッピング!
まさにギタリスト版「界王拳」です。
この1小節が決まるだけで、聴き手の心をガッチリ掴めます。
最初は指がもつれるかもしれませんが、遅いテンポからメトロノームに合わせて正確に音を出す練習を繰り返しましょう。
全体的に王道のハードロックアレンジなので、ブリッジミュートを効かせたザクザクのリフも、思いっきりアタックして弾ききりましょう。
18:20~ ムーンライト伝説
「ごめんね、素直じゃなくて」のメロディが、まさかのヘヴィメタルアレンジに!
このギャップこそ、小林信一さんの真骨頂。
原曲のキラキラしたイメージはどこへやら、重厚なリフと泣きのハーモニーが炸裂します。
サビの重々しいリフ、Aメロのキャッチーなメロディ、サビのドラマティックな展開と、短い中に物語が凝縮されています。
見た目以上に右手のスタミナと左手の正確なポジショニングが要求されるため、弾ききった時の達成感は格別です。
おわりに
イントロのワンフレーズを聴いただけで、一瞬にしてあの頃にタイムスリップできる。
それがアニソンの持つ魔法です。
私がギターを弾くのは、ただ音を奏でたいからだけじゃない。
「CHA-LA HEAD-CHA-LA」のイントロで悟空と共に空を翔け、「ウィーアー!」のリフでルフィたちとの大航海に出たいからです。
「翔べ! アニソン編」は、そんな”憧れ”を、ギターの”テクニック”へと昇華させてくれる一冊でした。
弾けなかったフレーズを克服するたび、まるでレベルアップして新しい必殺技を覚えたような感覚にさせてくれます。
複雑なスケール練習に疲れた時、思い出してください。
あなたがギターを手に取った動機は、きっと大好きな”あの曲”があったからのはず。
本書は、単なる楽譜ではありません。
あなたの”好き”という最強のエネルギーを、上達への力に変えてくれる最高の“冒険の書”です。
さあ、今すぐページを開いて、あなただけの冒険へ旅立ちましょう。
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