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10分

Infinite Woodwindsは吹奏楽の期待の新星 軽さとリアルさを両立した異色の木管音源をレビュー

2024-08-16
2025-07-10

リアルな木管音源、探していませんか?

Infinite Woodwindsは、大容量サンプリングとは一線を画すアプローチで、驚くほどの「軽さ」と「リアルな表現力」を両立させた、繊細なサウンドが特徴です。

特に、一般的なオーケストラライブラリでは手薄になりがちな楽器までカバーしており、吹奏楽やポップスの編曲で大活躍します。

本記事では、Infinite Woodwindsを実際に使って感じた魅力と、導入前に知っておくべき注意点をレビューします。

GOOD
  • インストール容量が少なめで動作が軽い
  • 29の木管楽器を収録
  • 息遣いが伝わる優しい音色
  • スマートレガートモードで滑らかな演奏
  • 操作しやすいリバーブ、ポジション、マイク、コントロール
BAD
  • Kontakt有料版が必要
  • キースイッチがないため、独自の打ち込み方に慣れが必要

目次#

驚きの軽さ!ノートPCでもサクサク動作#

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多くの音源がギガバイト単位でリリースするなか、Infinite Woodwindsのインストール容量はわずか12.3GB。

この驚異的なコンパクトさこそ、この音源の思想を最も象徴しています。

パッチの読み込みも一瞬で、メモリ消費もわずか30MBほどです。

この軽快さにより、制作中のアイデアをすぐに表現できます。

「音源の起動を待つ」というストレスから解放されることは、音楽制作において何よりのメリットです。

大容量=高音質とは限りませんし、コンパクトにまとまった完成度の高いプラグインだと思います。

吹奏楽もおまかせ!充実の29楽器#

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フルート、オーボエ、クラリネットといった基本的な木管楽器はもちろん、イングリッシュホルン、バスクラリネット、コントラファゴットまで網羅。

さらに特筆すべきは、ソプラノ、アルト、テナー、バリトンの4種類のサックスがすべて収録されている点です。

これにより、オーケストラだけでなく、ジャズや吹奏楽の編成にも対応できます。

木管楽器はリリースしているデベロッパーが少ないため、嬉しい仕様です。

息遣いが伝わる優しい音色#

奏者のリードから息遣いが伝わる優しい音色を奏でてくれます。

ささやくような、透き通った音色です。

高音の繊細さ、低音の大胆さも兼ね揃えています。

全体的に大人しいので、ミックスすると音量が控えめ。

サックスはレンジが広いので、他楽器の音域をマスキング(上書き)しないように注意しましょう。

思想が光る「脱キースイッチ」と「スマートレガート」#

Infinite Woodwindsの核心であり、最も異色と言えるのが、意図的にキースイッチを排除したことです。

その代わりに搭載されたのが、MIDIノートの音符の速さや長さで自動的に認識される「スマートレガート」システムです。

  • 短いノートはスタッカートに
  • 重なり合うノートは滑らかなレガートに
  • コントロールチェンジ(CC)で息の量をコントロール

これは「奏法を記号で選ぶ」従来の打ち込みとは全く異なります。

「どのように演奏したいか」をMIDIノートで描くだけで、まるで生身の奏者のように解釈し、演奏してくれるのです。

この操作方法に慣れたとき、キースイッチの煩雑さから解放され、直感的で自由な表現力を手に入れることができるでしょう。

また、「レガートバイパス」モードが存在します。

これをONにすると「スマートレガート」機能なしで発音します。

滑らかな音の繋がりがなくなるので、ショートノートなどに向いています。

さらに、和音で鳴らすことができるため、スケッチ(曲の下書き)に適したモードです。

操作しやすいリバーブ、ポジション、マイク、コントロール#

UI画面には操作しやすく各機能が配置されています。

3つのリバーブ#

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小規模(0.5秒)、中規模(0.9秒)、大規模(1.5秒)の空間系が存在します。

スタジオ向けのドライ、ホール向けのウェットなど残響を変えることができます。

単独で演奏するときはもちろん、他の楽器と混ぜる場合も、簡単に統一することができます。

0-127で変更するパラメータはないので注意。

座席の位置を指定できる#

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DAWのMIX画面でパンを設定することなく、プラグイン側で細かく配置を変更できます。

音源をロードすると基本の座席に位置します。

音が干渉する場合はずらしてみましょう。

3つのマイク#

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「クローズ」「メイン」「アンビエント」の音量をミックスまたは独立してコントロールできます。

プリセットも5つ用意されているので、統一性を確保できます。

把握しやすいコントロール#

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主要な奏法が画面に表示され、リアルタイムで変化の様子を捉えることができます。

CC#内容
CC#1ダイナミクス(抑揚)
CC#16フラッター(振動する音)
CC#17グロウル(歪んだ音)
CC#20ビブラート速度
CC#21ビブラート深さ
CC#64レガートバイパス(スケッチモード)

マウスで右クリックするとCC#も表示されるので、いつでも確認できます。

Kontakt有料版が必要#

再生エンジンにはNative Instruments「Kontakt」を採用しています。

バージョン5.7以降のKontakt Fullが必要です。

無料のKontakt Playerでは動作しないため、所持していなければ追加費用を負担することになります。

他の主要な木管音源との比較#

代表的な音源ライブラリである「Spitfire Audio」と「Vienna Symphonic Library」を例に、Infinite Woodwindsがどのような立ち位置にあるのかを比較します。

比較項目Infinite WoodwindsSPITFIRE STUDIO WOODWINDSSynchron Woodwinds
サウンドドライ・機敏壮大・ウェットニュートラル・万能
得意ジャンル吹奏楽・ポップス映画音楽クラシック・オーケストラ
動作の快適さ非常に軽いやや重い普通
再生エンジンKontakt FullKontakt player独自Player

どれが優れているかではなく、あなたの音楽にどれが一番合うか、として参考にしてください。

実践編「三日月の舞」を打ち込んでみた#

この音源の真価を探るため、吹奏楽の名曲である「三日月の舞」をInfinite Woodwindsと姉妹音源のInfinite Brassを使って制作しました。

こだわったのは、木管楽器の繊細なニュアンスです。

キースイッチを使わずに、MIDIノートとベロシティの調整だけで、滑らかな演奏表現が可能になります。

ここにデベロッパーであるAaron Ventureの思想を読み取ることができるでしょう。

終わりに こんな人におすすめ#

Aaron Venture「Infinite Woodwinds」は、ただの木管音源ではありません。

「軽さ」「音質」「音楽的な表現力」を融合させた、個性あるライブラリです。

こんな方には特におすすめです。

  • 吹奏楽やポップスのアレンジをする方
  • PCのスペックに不安があり、軽い音源を探している方
  • キースイッチの切り替えが苦手で、もっと直感的に打ち込みたい方
  • 繊細で美しい木管の音色を求めている方

管楽器の打ち込みは奥が深いですが、このInfinite Woodwindsは、その難しさを楽しさに変えてくれるでしょう。

管楽器は(リアルで)演奏が難しいので、貴重なライブラリでもあります。

「管楽器の打ち込みは難しい」——そう感じているあなたにこそ、この音源がもたらす「音楽を奏でる楽しさ」を、ぜひ体験してください。

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