音作りの沼へようこそ。KORG「opsix」「wavestate」「modwave」比較レビュー!あなたの音楽に刺さる一台は?
KORGが誇る現代デジタルシンセの3兄弟、「opsix」「wavestate」「modwave」をレビューします。
「見た目似てるけど、何が違うの?」
「自分の作りたい音楽に合うのはどれ?」
私も最初はそうでした。
しかし、使い込んでみると、彼らが全く異なる哲学を持つ個性派集団だということが判明!
この記事を読めば、それぞれのキャラクターが分かり、あなたの音楽制作に最高のインスピレーションを与えてくれる一台がきっと見つかります。
この記事では全てVSTプラグイン(Native)版の比較です。
目次
比較表
| opsix | wavetstate | modwave | |
|---|---|---|---|
| キャッチコピー | FM音源を再発明した「理論派の職人」 | 予測不能なシーケンスを奏でる「変幻自在のパフォーマー」 | カオスを操るサウンドの「予測不能なトリックスター」 |
| 得意なサウンド | クリアで温かみのあるエレピ、ベル、ベース | 時間変化するパッド、複雑なアルペジオ | 過激で野太いリード、効果音(SE) |
| こんな人におすすめ | シンセの音作りを基礎からじっくり楽しみたい人 | 新しいインスピレーションや「偶然の出会い」を求める人 | とにかく個性的で誰も聴いたことのない音を作りたい人 |
| 操作のポイント | 6つのオペレーターを組み合わせる論理的な音作り | 複数のレーンを操り、サウンドを時間軸でデザイン | 予想外の変化を生成するカオス・フィジックス |
| 強み | FM音源の概念を覆す分かりやすさ | ボタンひとつで曲のアイデアが生まれる | 指先一つでサウンドが激変する快感 |
| 弱み | 音作りの自由度が高く、少し根気がいる | シーケンスが複雑で曲に馴染ませるのにコツがいる | 個性が強すぎて優等生な音は苦手 |
ちなみに、どれもインストール容量は30MB前後で、驚くほど軽いです。
opsix
opsixは、難解なイメージのあったFM音源を「楽しく学べる教科書」に変えてくれた、頼れる長男です。
かつてのFMシンセは、液晶画面と睨めっこする苦行でしたが、opsixはオペレーター(音の素)の役割が色とツマミで一目瞭然。
まるでパズル感覚で、あのキラキラしたエレピや金属的なベルサウンドを作れてしまうのには感動しました。
ここが凄い!
FM音源だけでなく、減算シンセやアナログモデリングなど6種類の音源方式を内蔵。
そのおかげで、「FMシンセの音って線が細いよね?」という先入観を覆す、太くて温かいサウンドも作れるのが彼の懐の深さです。
ちょっとだけ注意
ただ、やはり音作りの自由度が高い分、プリセットを少し変える以上のことをするには「オペレーターがどう動くと音が変わるか」という少しの探求心が必要。
でも、それこそがシンセを学ぶ醍醐味ですよね!
筆者の使い方
私はLo-Fi Hip Hopのコード弾きに多用しています。
少しデチューン(音程をわずかにずらすこと)をかけたエレピに、内蔵エフェクトのテープエコーを薄くかけるだけで、一気にあの「っぽい」雰囲気が出せますよ。
▼公式サイト
wavetstate
wavestateは、鍵盤を一つ押しただけで次々と新しいメロディやリズムを提案してくれる、インスピレーションの塊のような次男坊です。
彼の心臓部「ウェーブ・シーケンシング 2.0」は、膨大な音の断片を複雑に組み合わせ、時間と共に変化し続けるサウンドを生み出します。
正直、何が起こるか作った本人にも予測不能な時があるほど。
ここが凄い!
特に「ランダム化機能(サイコロのボタン🎲)」は反則級の面白さ。
曲作りに行き詰まった時、これを押すだけで「え、そんな展開アリ!?」という偶発的なフレーズが生まれ、何度も助けられました。
ちょっとだけ注意
あまりにシーケンスが複雑で派手なため、そのまま使うと曲の中で浮いてしまうことも。
そんな時は、原音とシーケンス音を混ぜるMIXノブを調整して、楽曲に馴染ませるのがおすすめです。
筆者の使い方
アンビエントや劇伴制作で、背景でうっすら鳴り続けるパッド音として使うのがお気に入り。
一つの音なのに常に変化があるので、リスナーを飽きさせない空気感を作り出せます。
▼公式サイト
modwave
さて、個人的な最推しがこのmodwave。
常識を破壊し、サウンドをカオスの渦に叩き込む、ヤンチャな三男です。
こいつは本当に「ヤバい」。
彼の代名詞は、画面中央でボールが暴れ回る「Kaoss Physics」。
このボールを指で弾くと、その物理的な動きがシンセのパラメーターと直結し、サウンドが生き物のようにうねり、叫び、変形します。
この快感は、他のシンセでは絶対に味わえません。
ここが凄い!
核となるウェーブテーブル音源は、とにかく音が太くてパワフル。
プリセットを鳴らすだけでも、その圧倒的な存在感に驚くはず。
ツマミを回すたびに「こんな音出るの!?」と声が出るほど表情が変わり、時間を忘れて音作りの沼にハマります。
ちょっとだけ注意
個性が強すぎるあまり、おとなしいピアノやストリングスのような「普通の音」を出すのは少し苦手。
彼は万能選手ではなく、ここぞという場面で投入する必殺兵器です。
筆者の使い方
映画やゲームの効果音制作に最適!
例えば、フィルターとレゾナンスをKaoss Physicsに割り当てて、怪物が呻くようなSEを作ったり、SF的なワープ音をデザインしたりすると最高に楽しいです。
▼公式サイト
終わりに
三者三様の魅力を持つシンセサイザー。どれを選ぶべきか、目的別にまとめてみました。
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シンセの構造を学びつつ、王道サウンドを極めたいなら
opsix論理的な音作りを通して、シンセサイザーの構造理解が深まります。
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作曲のマンネリを打破し、新しいアイデアが欲しいなら
wavestateランダム機能や複雑なシーケンスが、マンネリを打破するきっかけをくれます。
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誰とも被らない、強烈な個性で殴り込みたいなら
modwaveKaoss Physicsが生み出すサウンドは、あなたの音楽に強烈なフックを加えるでしょう。
個人的な最推しは、一日中遊べるmodwaveですが、どれも一長一短で、それぞれにしか作れない世界があります。
DTMでは、一台ですべてをこなす万能シンセよりも、こうした得意分野を持つ個性派シンセを適材適所で使い分けるのが面白いですよね。
嬉しいことに、これら3機種は無料のデモ版でその機能をじっくり試すことができます(KORGさん、太っ腹!)。
セールで驚くほど安く(半額に)なることもあるので、まずはデモ版をインストールして、その個性に触れてみてください。
あなたの音楽制作が、彼らとの出会いでさらにクリエイティブになることを願っています!
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▼KORGのmidiコントローラー解説