【時短&音質向上】Axe-FX Ⅲ向けプリセット「1000+ Live Gold!」レビュー【FM9/FM3対応】
Fractal Audio SystemsのAxe-Fx Ⅲ、FM9、FM3。
その圧倒的なサウンドクオリティと機能性に魅了される一方で、膨大なパラメータを前に「音作りが難しい」「自分の出したい音にたどり着けない」と感じていませんか?
私もその一人でした。
なんとか納得のいく音を数個作っては、使い回す日々。
しかし、もっと多彩で、プロが作ったような洗練されたサウンドを手軽に試してみたい。
そんな想いから導入したのが、今回レビューするAustinBuddyの有料プリセット集「1000+ Live Gold!」です。
この記事では、実際に導入して感じたリアルな感想と、このプリセットがあなたのギターライフをどう変えるのか解説します。
目次
AustinBuddy「1000+ Live Gold!」とは
AustinBuddyが作成したFractal Audio Systems向けの有料プリセット集($99)で、その完成度の高さから世界中のギタリストに評価されています。
-
膨大なサウンドバリエーション
約300のプリセットをベースに、各プリセットに8つのシーン(エフェクトのON/OFF等を切り替える設定)が用意されており、合計で1000を超える「トーン」が収録されています。
-
即戦力
ライブやレコーディングに最適化されており、導入してすぐに使えるプロクオリティのサウンドです。
-
互換性
Factory Cab IRのみで設計されているため、今後のファームウェアアップデート(Dyna-Cabs等)の影響を受けにくいのが特徴です。
導入したきっかけ
Axe-FX Ⅲは多機能で、パラメータも膨大にあります。
そのため音作りはやや及び腰になり、なんとか納得するクリーンとハイゲインを作って、その使い回しをしていました。
しかし、巷に流れる音はどれも個性豊かで、独特な世界観を構築している。
あんな音も出せるんだ。こんな音を奏でたい。
そんな楽器初期のマインドに立ち返り、模索を始めました。
そこで以前から気になっていた、本プリセットを導入することにしました。
音の印象は「優等生」という名のプロの仕事
第一印象は「優等生」です。
奇をてらった派手さはありません。
しかし、ギターや演奏環境が変わっても破綻しない、絶妙なバランス感覚でチューニングされています。
アンサンブルの中でしっかりと存在感を示しつつ、他の楽器と心地よく混ざり合う。
誰もが「良いエレキギターの音だ」と感じるであろう、安心感と説得力があります。
これは決して「無個性」という意味ではありません。
むしろ、楽曲に求められる役割を100%こなすための計算され尽くしたスタンダードだと感じました。
お気に入りプリセット3選
-
Extra Powerball -CX3 脳に突き刺さるモダンハイゲイン
現代的なメタルやジェントを弾くなら、まずコレ。
ザクザク刻んだ時の音の壁、そして単音で弾いた時のサステインと音の太さ。
まさに「求めていたモダンハイゲイン」という感じです。
-
Mod JCM800 (V30’s) -CX3 ギターのボリュームが”歪みのツマミ”になる
カッティングにも最高。でも真髄はボリューム操作にあり。
ボリュームを絞ると鈴鳴り感のある、全開にするとエッジの効いたサウンドです。
まるで手元だけで3チャンネルのアンプを操っているような感覚です。
-
ElectricIn2Acoustic -CX3 本気で使えるアコースティックシミュレーター
「エレキでアコギの音が出せたら…」を叶えてくれます。
ドラムやベースに混ざっても、しっかりアコギのストロークに聴こえます。
贅沢にディレイやリバーブをかけても面白いでしょう。
注)これらプリセットのパラメータは、私が弾きやすいように一部変更を加えています。
導入して気づいた3つの衝撃
このプリセットは、単に便利なだけでなく、私のギターや音作りに対する考え方そのものに大きな影響を与えました。
ここでは、私が特に衝撃を受けた「3つの気づき」をご紹介します。
-
「良い音は”GAINを上げない”」という事実
これまでの私は、歪みが足りないと感じるとすぐにアンプのGAINを上げていました。
しかし、このプリセットの多くはGAINが驚くほど低い。
それでも音がパワフルなのは、EQ処理や、他のエフェクトとの組み合わせが巧みだからです。
「歪みの量=音の良さ」ではない。
この当たり前の事実に、プロの音作りを通して気づかされました。
-
クリーンサウンドのクオリティが高い
プリセットの構成(ブロックの並び順など)がある程度統一されているため、サウンドキャラクターが似通う側面はあります。
特にクリーン系はその傾向を感じます。
しかしながら、プリセットを追うと奥深いセッティングに気づきます。
「どこで使うんだ?」と疑問に思うような”捨て音”が一つもない点は、高く評価できます。
-
「弾かされた」のではなく「弾きたくなった」
このプリセット集には、普段の私なら絶対に選ばないようなサウンドも多数収録されています。
試しに弾いてみたところ、その心地よさに衝撃を受けました。
その音に影響されて、今まで練習でつまずいたフレーズも楽しみを覚えるようになりました。
これは機材に「弾かされている」のではなく、良い音が自分の「創造性を引き出してくれた」瞬間でした。
【結論】このプリセットは「買い」か?
Fractal Audioユーザーとしての経験値によって、このプリセットの価値は変わるでしょう。
▼こんな人には絶対におすすめ!
- Axe-Fx等を導入したが、音作りの深さに圧倒されている初心者〜中級者
- ライブやレコーディングですぐに使える即戦力サウンドが欲しい人
- プロの音作りのアプローチを答えから逆引きで学びたい人
- 音作りの時間を短縮し、もっと演奏に集中したい人
▼こういう人には不要かも?
- 既に自分のギタースタイルとサウンドが確立している上級者
- ゼロからパラメータを追い込んでいく音作りの過程そのものが好きな人
終わりに $99は「時短」と「学び」への投資
アンプシミュレーターの設定データに$99は、一見すると高価に感じるかもしれません。
しかし、これは単なるデータではなく、トッププロが膨大な時間をかけて蓄積した「音作りのノウハウ」そのものです。
このプリセットが提供してくれるのは、単なる「良い音」だけではありません。
プロの仕事から得られる「学び」。
音作りの悩みから解放される「時間」。
そして、新しいサウンドがもたらしてくれる「インスピレーション」。
機材は、あくまで音楽を創造するためのツールです。
もしあなたが今、機材のセッティングに悩んでいるのなら、一度プロが整備した最高のプリセットを使ってみませんか?
きっと、その先には新しい発見があることでしょう。
▼サンプル録音に使用したギター
▼ディストーションの魅力