DTM初心者にもおすすめシンセサイザー4種を比較
「Sylenth1」「Spire」「SynthMaster One」「Avenger」のシンセサイザー4種を比較します。
シンセサイザー選びでは、音の好み、CPU負荷、操作性やプリセットが重要です。
| 項目 | Sylenth1 | Spire | SynthMaster One | Avenger |
|---|---|---|---|---|
| 音の傾向 | 暖かく透明 | 鋭くクリア | 素直でフラット | 力強く高解像度 |
| 得意なジャンル | Pop | EDM | All Genre | Epic、Cinematic |
| 操作性 | シンプル | やや慣れが必要 | 分かりやすい | 多機能で複雑 |
| プリセット | 使いやすい | 拡張がおすすめ | 非常に使いやすい | 使いやすい |
| CPU負荷 | 非常に軽い | 普通 | 軽い | 非常に重い |
| 発売日 | 2006年 | 2012年 | 2017年 | 2016年 |
| 参考価格 | 2.3万円 | 3万円 | 1.5万円 | 3.6万円 |
| こんな人におすすめ | 最初の一本に迷う人 | EDMを追求したい人 | 価格を抑えたい人 | 最高の音質を求める人 |
それぞれのデモ音源を作成しました。
まず聴いてみてください。
同じMIDIフレーズをファクトリープリセットで演奏しています。
この中でおすすめは「SynthMaster One」!
それでは順番に見ていきましょう。
目次
LennarDigital「Sylenth1」ロングセラーの超定番シンセ!
Sylenth1は2006年にリリースされ、現在まで無料でサポートされているシンセサイザーです。
最新バーションは2022年の3.073。実に19年に渡って支持されています。
今なお第一線で愛され続ける、まさに「定番」と呼ぶにふさわしいシンセサイザーです。
暖かみと透明性
デジタルシンセでありながらアナログライクな暖かみと、芯の通った透明感を両立。
2つのオシレータからフィルターを通し、それを並列にミックスし出力しています。
昨今の太くて迫力のある音とは方向性の違う、芯の通った瑞々しさが感じられる音です。
UIはシンプルで、動作は非常に軽い
操作画面は階層がほとんどなく、音作りに必要なパラメーターが一画面に収まっています。
このシンプルさこそ、長年愛される理由の一つでしょう。
動作は驚くほど軽く、非常に安定しています。
CPU負荷を気にせず、トラックが増えても快適さ故、つい立ち上げたくなる存在です。
普遍的なサウンドでお手頃価格
ファクトリープリセットは独特で、主張性を秘めたものが揃っています。
困ったときにはSylenth1に頼れば、解決してくれることも多いです。
その解答を受けて、あとで別のシンセに挿し替えられることもありますが。
古い音ではなく、時代に左右されない普遍的なサウンドです。
価格はそこそこ安いものの、セールは珍しいです。
せいぜい25%OFFで安売りせず、ブランド価値を保っています。
こんな人におすすめ
- CPU負荷を気にせず、サクサク曲作りがしたい
- 音楽に馴染む、温もりのあるサウンドが欲しい
- シンセの基本を学びながら、長く使える一台を探している
音を再チェック
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Reveal Sound「Spire」パリピに見えて実は幻想的!?
Spireは2012年にリリースされ、EDM系シンセとして一躍有名になりました。
最新バーションは1.5.4。1.2以前は不安定で落ちることも多かったですが、ここ最近は安定しています。
EDMシーンを中心に爆発的な人気を誇るシンセサイザーです。
ハードシンセのような操作感
一見するとノブが多くて複雑に感じますが、よくご覧ください。
音の信号が左上のオシレーターからフィルターへと、上から下へ流れるように設計されており、実はとても直感的です。
このつまみを触る感じがハードシンセっぽくてセンスが溢れています。
鋭いEDMサウンドと、美しい幻想パッド
冒頭にも触れたように、EDM系に強く音抜けが良いパリピなシンセサイザーです。
しかし、ファクトリープリセットを覗くと「ん?」となります。
確かにベースやシーケンスは派手でイケイケです。
しかし、リードやシンセはEDMと名がついたプリセットはひとつしかありません。
パッドに至っては宇宙を創造しているかのようなファンタジーさがあります。
EDM系として本領発揮するのは有料プリセットを導入してからになるでしょう。
特色は強いものの、EDM系に特化してるわけではなく、”らしさ”のあるシンセです。
UI画面の拡大縮小が不可
この中では唯一UI画面を拡大縮小できません。
高解像度のモニター環境では文字が小さく感じられる可能性がある点は注意が必要です。
こんな人におすすめ
- EDMやTrance系の、パワフルで抜けの良いサウンドが欲しい
- 分厚いスーパーソウや、美しいパッドサウンドを作りたい
- プリセットを追加して、音源をどんどん強化していきたい
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KV331 Audio「SynthMaster One」軽い・安い・音が良いの三拍子!
SynthMaster Oneは2017年にリリースされ、先発のSynthMasterと同じエンジンを使用しています。
最新バージョンは2025年の1.6.2。
2022年で更新が止まっていましたが、久しぶりのアップデートがありました。
あらゆるジャンルに対応する万能選手
音は非常に素直でクセがありません。THE優等生。
1250もの豊富なファクトリープリセットがあるので、「使いたい音が見つからない」ということがありません。
カテゴリ分けされたブラウザも非常に優秀で、検索しやすく管理も容易です。
個人的に推しています。
初心者にも優しい快適設計
プラグインが非常に軽く、動作が安定している点は特筆すべき長所です。
これまで不具合に遭遇したことが一切ありません。
シンセサイザーの音は特徴があり使い所が限られるのですが、SynthMaster Oneは楽曲に合わせて使いやすいです。
スタンドアロンでも立ち上がるので、DAWなしでも音を確認できます。
また、NKS(Native Kontrol Standard)対応で、Native Instruments製品と組み合わせると連携の強みを発揮します。
迷ったらこれ!圧倒的コスパの優等生
価格の安さ、動作の軽さ、音質の良さ、プリセットの豊富さ。
あらゆる点でバランスが取れており、まさに死角なし。
DTM初心者の一台目として、これ以上ない選択肢と言えるでしょう。
こんな人におすすめ
- DTM初心者で、最初のシンセに迷っている
- 幅広いジャンルを制作するため、万能な音源が欲しい
- コストパフォーマンスを最も重視する
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Vengeance Producer Suite「Avenger」すべてを凌駕する最強の怪物
Avengerは2016年にリリースされ、最新バージョンは2.xです。
私が2.x未導入のため、初代の1.8.2(最終は1.8.4です)で比較します。
問答無用の最高峰サウンド
音質は、太く、パワフルで、解像度が非常に高い。
プリセットを一つ鳴らすだけで、他のシンセが霞んでしまうほどの強烈な存在感を放ちます。
複雑にレイヤーされたシーケンスや、映画音楽のような壮大なサウンドは、Avengerの独壇場です。
間違いなく現在の地球上で最強のシンセサイザーです。
もしハードウェア版が出たら絶対買う。
非常に重い
とにかくCPU負荷が高く、非常に重いです。
重くても音が良いなら使えば?と疑問に思うかもしれません。
何度もDAWが固まって、制作が進まないんです。
他トラックを無効化(フリーズ)しても、単体で重い。
2.xを導入した知人の話しを聞く限り、ロードせずプレビューができるようになって便利だとか。
それでも重いらしいです。
これから買う人は、以上のことを覚悟してください。
PCスペックに自信があるなら最高の選択肢
「重くてもいいから、とにかく最高の音が欲しい」というプロフェッショナルの要求に応えるシンセサイザーです。
他の誰もが手を出せないサウンドを生み出す最強の武器となるでしょう。
こんな人におすすめ
- パソコンのスペックに自信がある
- 音質に一切の妥協をしたくない
- 一つのシンセで音作りを極めたい
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終わりに あなたの音楽制作に最適なシンセサイザーは?
今回は、個性豊かな4つのシンセサイザーを比較しました。
- Sylenth1:軽くて暖かみのある、いつまでも使える定番
- Spire:EDMの即戦力でありながら、幻想的な一面も持つ実力派
- SynthMaster One:迷ったらこれ!圧倒的コスパの万能優等生
- Avenger:パソコンスペックが許すなら、すべてを凌駕する最強の怪物
この記事では、総合的なバランスから「SynthMaster One」がDTM初心者にとって後悔のない選択だと考えています。
しかしながら、最も大切なのは「この音で曲を作りたい!」と心からワクワクできるかどうかです。
スペックや価格も重要ですが、最終的にはあなたの感性を信じてください。
気になるシンセサイザーが見つかったら、公式サイトからデモ版をダウンロードして、実際に音を出してみることをおすすめします。
サウンドはもちろん、自分のPCで快適に動作するか、操作はしっくりくるか、確かめるのが一番です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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