【6年使用レビュー】XVIVE XV-U2はまだ使える?音質・遅延・バッテリー寿命を本音で解説
足元で蛇のように絡み合ったシールドに、何度ため息をついたことか。
演奏中につっかかったり、ライブ中の断線の不安。
そんなギタリストなら誰もが経験する「小さな絶望」から解放してくれたのが、6年前に手にしたXVIVE「XV-U2」でした。
気づけば今日まで6年間。
練習、宅録、ライブまで、ギターライフを共に過ごした本機。
最新機種が溢れる今、なぜXV-U2を使い続けるのか?
この記事は単なる製品紹介ではありません。
6年間の成功と失敗、愛憎(?)を込めた、リアルな使用記録です。
買いな人- 自宅での練習環境を改善したい人
- 初めてのワイヤレスに挑戦したい人
- 手軽さとコストのバランスを重視する人
- 1秒の音切れも許されないプロの現場で使いたい人
- バッテリーの経年劣化が許せない人
- 最新スペックを追い求めたい人
目次
結論ファースト 6年使った私が断言する「XV-U2の真価」
今も色褪せない3つのメリット
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圧倒的な解放感
シールドの絡まりに惑わされない解放感。
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十分すぎる実用性
有線と比較して、音質・遅延の差は実のところ感じません。
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驚異的なタフネス
何度か落としたりぶつけたり、それでも壊れない堅牢性。
購入前に知るべき3つの注意点
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バッテリーは消耗品
ライブで安心して使えるのは最初の2〜3年。経年劣化は避けられません。
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2.4GHz帯の魔境
Wi-Fiや電子機器の電波が飛び交う環境では、混信リスクの覚悟が必要でしょう。
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ライバルの進化
最新機種と比べると、機能面(ケーブルトーン等)で見劣りする点も。
仕様
XVIVE(エックスバイブ)は2012年に中国で誕生したブランドです。
XV-U2は、ジャックに差し込むプラグインタイプで、簡単にワイヤレス環境を構築できます。
本体側を折りたたむことができるのでコンパクト。
項目 仕様 サンプリング周波数 24bit/48kHz非圧縮デジタル転送 最大伝送距離 約30mm(見通しのよい屋外) 駆動時間 約5時間 バッテリー リチウムイオンポリマー・バッテリー 充電:約1.5時間/駆動:最大5時間 レイテンシー 6ms未満 周波数特性 20〜20kHz、+1dB/-3dB 全高調波歪率 0.05%未満(1kHz、-10dBFS) ダイナミック・レンジ 103dB以上、Aウェイテッド 使用周波数帯域 2.4GHz ISMワールドワイド 動作環境温度 -10〜50℃ 重さ 約42gトランスミッター部/約39gレシーバー部
注意:バッテリー駆動の楽器ではノイズが発生する場合があります。
ギタリストが一番知りたい「音」 比較音源あり
同じセッティングで、有線と無線で録音してみました。
まずは、多くのスタジオやライブハウスで標準的に使われている定番品 CANARE PROFESSIONAL CABLE 3m。
次に、XV-U2。
音質劣化は本当か?有線 vs 6年モノXV-U2
画像のように、周波数特性やラウドネスの違いは目立ちません。
データ上はほぼ同じです。
あなたの耳ではどう聴こえますか?
本音の体感レビュー
弾いている本人からすると、わずかながらワイヤレスの方がコンプ感(音がまとまる感じ)が増す気がします。
これが「音が細る」と言われる原因かもしれません。
バンドアンサンブルの中ではむしろ扱いやすいと感じる側面もありますが。
ただ正直に言うと、新品時と比べてほんの少しだけ高音のきらびやかさが失われた気もします。
しかし、これは有線ケーブルを高級品に変えた時のような微々たる差。
録り音では差はほぼ感じません。
遅延でプレイは変わる?カッティング・速弾きの感想
テンポの早いカッティングでもモタりは感じません。
レガートやオルタネイトの速弾きでも指と音が完全にシンクロします。
もちろん、DAWで録音した波形を極限まで拡大すれば、仕様通り数ミリ秒のズレは確認できるかもしれません。
しかし、これは人間が知覚できる領域を遥かに超えています。
この遅延が原因でプレイが乱れることは、6年間で一度もありませんでした。
目安として、5ms以下では問題ないとされ、10ms以上だと人によっては違和感を感じるとされています。
【最重要】6年間のバッテリー寿命と物理的な耐久性
バッテリーは要注意です。
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購入〜1年目
余裕の5時間超え。スタジオ2回分(6時間)は充電なしでいけました。
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3年目
3〜4時間程度に。ライブ本番前は「必ずフル充電する」という意識が強くなりました。
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6年目以降から現在
実測2.5時間。 自宅での練習1回分が限界。
「ああ、そろそろ寿命か」と、老いを実感した瞬間です。
ライブで使うには心許ないですが、1〜2時間の個人練習なら今でも十分。
プラグ部分のぐらつきもなく、6年間の酷使に耐えてくれています。
私が手にしたものは、幸運にも当たり個体だったのかもしれません。
しかし、まったく問題がないわけではありません。
充電用のMicro USB端子は、数えきれないほどの抜き差しで少しだけズレが生じてきました。
充電は問題ないものの、ケーブルを挿すたびに「今日も頼むぞ」と、少しだけ優しくなってしまうのです。
ちなみに、6年間で充電した回数は、少なく見積もっても200回以上。
現在はフル充電まで2時間ほどかかります。
ライブでの混信リスクと、心臓が凍ったあの日の話
4チャンネルの割り振りができるため、同じ場所で複数人が同時使用しても混信しません。
周波数帯域は2.4GHz帯なので、ライブハウスなど電波が飛び交う環境では注意が必要です。
経験上、Wi-Fiルーターの近くや、他のワイヤレス機器が多い環境では、ごく稀に音が途切れることがありました。
もしもに備えて、干渉しないチャンネルを見つけておくと良いでしょう。
過去、他のPAさんが使っているワイヤレスミキサーと干渉したのか、リハではOKだったのに本番で音がブツブツに。
幸い、チャンネルを変えて事なきを得ましたが、あの時の沈黙の3秒間は心臓が凍りつくような感覚でした。
教訓として、予備のシールドは必ず用意しておくことをおすすめします。
これは、全ワイヤレスユーザーに伝えたい、私の心からのメッセージです。
今、あえてXV-U2を選ぶ意味 主要ライバル製品と比較
| 機種名 | 価格帯 | 遅延 | バッテリー(新品時) | 特徴 | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|---|---|
| XVIVE XV-U2 | 安い | 6ms未満 | 約5時間 | シンプル・高コスパ | 初めての1台、自宅練習メイン |
| BOSS WL-20 | 中 | 2.3ms | 約12時間 | ケーブルトーン機能、安定性 | 音質にこだわる人、BOSSブランドの安心感 |
| Line 6 Relay G10TII | 中 | 5ms未満 | 約7時間 | 様々なアンプに対応 | Line 6製品との連携をしたい人 |
なぜXV-U2を使い続けてきたのか。
BOSSのケーブルトーン機能は確かに魅力的です。
しかし、私にとってはそれ以上に「何も考えずに音が出るシンプルさ」が重要だったのです。
機材に気を遣うことなく、ただギターを弾くことに集中させてくれる。
それが私にとってのXV-U2の価値でした。
あなたにとって、ワイヤレスに求める一番のポイントは何ですか?
補足 XV-U2に関するQ&A
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ストラトキャスターの舟形ジャックにも使えますか?
はい、問題なく使えます。
プラグの角度が変えられるので、ほとんどのギターで快適に使えるのがXV-U2の強みです。
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アクティブピックアップやキーボードでも使えますか?
使えます。
ただし、プリアンプ内蔵の楽器では、相性によってノイズが出ることがあります。
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充電しながらの使用はできますか?
できます。
しかし、ノイズの原因になるので、ライブ本番での使用はおすすめしません。
あくまで緊急避難的な使い方と考えるのが良いでしょう。
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ぶっちゃけ、今から買うのはアリ?ナシ?
結論、アリです。
特に「初めてのワイヤレス」で「自宅練習がメイン」なら、コスパも優れており必要十分です。
まとめ 定番は伊達じゃない。でも「万能」ではない。
最近はさらに低遅延で多機能なモデルも登場しています。
しかし、この手軽さと安定感、そして何より「ワイヤレスの快適さ」を教えてくれたのはXV-U2でした。
メインの座は後継機に譲る時が来たかもしれませんが、最新が最良とは限りません。
最新機材を追いかけるよりも、一つの機材とじっくり向き合い、その長所も短所も知り尽くすタイプの私にはぴったりです。
この6年間、鳴らしたい音を、鳴らしたい瞬間に、忠実に届けてくれました。
この信頼感こそが、私がXV-U2を愛用する理由です。
もしあなたがワイヤレスシステムを導入するか迷っているなら、この入門機から始めてみてください。
その選択は、あなたのギターライフをきっと豊かにしてくれるはずです。
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